運行と運航の違い!辞書の意味から人と法令まで

雑学

乗用車、バス、鉄道、船舶、航空機……身の回りには移動するためにさまざまな乗り物があります。

乗り物を利用するときには、安全にそして時間通りに動いていてほしいですよね?電車に乗るために駅に来たけど、次の電車はいつ来るかわかりません、というのでは困るわけです。

 

乗り物が動くことを、「うんこう」と読む漢字2文字で表します。ところが、この「うんこう」には「運行」と「運航」という2通りの書き方があります。

 

さて、どちらを使うのが正しいのでしょうか?

「運行」と「運航」の使い分けと、関連した雑学について調べてみましたので、どうぞお付き合いください。


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運行と運航、辞書における意味の違い

辞書を調べてみると、運行と運航の意味はこうなっています。

  • 運行は決まった道筋を進むこと。天体にも使うことがある
  • 運航は船舶や航空機が航路を進むこと

 

運航は船舶と航空機に使うわけですね。舟へんの「航」という字があるから納得できます。

航空機にも「航」という舟へんの字を使うのは、次に示す関連記事でも書きましたが、「空を海と見立てて、航空機が移動する」という意味があるからです。海を進む「航海」に対して、空を進む「航空」という言葉がそれを物語っています。

 

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運行の「決まった道筋を進む」というのは、線路の上しか走れない鉄道ならまさにそうですね。

東海道新幹線

 

バスは道があって通行可能ならどこでも通れますが、決まったバスの路線があって、その上を進むというのが自然ではないでしょうか? 路線バスなら読んで字のごとく、長距離バスなら国道や高速道路のレベルで決まった道筋があると言えます。

 

まとめると、バスと電車は「運行」、船舶と航空機は「運航」と使い分ければ OK です。

  • 東京発着の新幹線の運行状況を調べる。
  • ラッシュ時の混雑のため、山手線の運行が乱れた。
  • 羽田発の航空機は悪天候のため運航をキャンセルされた。

…といった使い分けになります。

 

法律における違い

運行と運航について調べていたら、運行管理者と運航管理者という仕事(資格)があるのを知りました。「うんこう」を管理する者なのですが、この記事の最初に書きましたように、安全というのが深く関わってくる資格です。

 

まず、運行管理者とは、業務用自動車の安全な運行を確保するための業務を行う者です。業務用自動車とは旅客輸送をするバスやタクシーのことです。緑色のナンバープレートが必要になり、運転するには二種免許が必要です。

「安全な運行を確保」するために様々なことを考えないといけないのですが、一例を挙げると、長距離バスの運転手に適切な休憩を取らせなければならないというのがあります。以前、ろくに休憩を取らせずに長距離バスを運転させ、事故が起こったことが報道されましたね。

運行管理者になるには国家試験に合格しなければならず、一定台数以上の業務用自動車を持つ事業所ごとに一定人数を必要とします。

 

次は運航管理者です。こちらは船舶と航空では少し違っています。どちらも安全な運航を確保するための情報提供や管理を行う者という点は同じです。しかし、航空は試験に合格しないとなれませんが、船舶には試験がありません。

 

関わる人における違い

資格を表す漢字に「士」という文字があります。弁護士や会計士といった資格(職業)を「士業」っていいますよね。先ほど説明した運行管理者(士)も「うんこう」に「士」がつく資格です。

 

では、「運行士」とか「運航士」という言葉がないか調べてみたら、「運航士」の方がありました。

運航士とは、自動化された船において、航海系業務と機関系業務を併せて指揮する船舶職員とあります。船舶職員法という法律で決められた職制です。

 

…うーん、なんか難しいですね(゚Д゚;)

乗り物を動かす人と、その対象となる乗り物の分類はこうなっています。

  • 操縦士 … 小型の船舶、航空機、宇宙船
    (他の呼び名:船長、操舵手、機長、パイロット、キャプテン、艦長)
  • 運転士 … 主に鉄道。バスの場合は社内呼称で通常は運転手
  • 運転手 … 主に自動車。タクシー、トラック、バス、乗用車

バスの運転手

 

ここでもわかることは、「運行」する乗り物を動かす人は「運転士(手)」という使い分けと、「運航」する乗り物を動かす人は(他にも呼称はありますが)「操縦士」という使い分けがあります。

 

まとめ

運行と運航の違いと、周辺のちょっとした雑学をまとめて見ました。

  • 運行はバスと鉄道に用いる
  • 運航は船舶と航空機に用いる

 

いつの日か、宇宙旅行に行けるようになったら、どちらを使うのが適切でしょうか?

宇宙船やロケットは航空機と同じとみなせますから、「運航」でしょう。「月へ向かうロケットの運航状況は……」という言い回しを聞くことになるかもしれませんね!


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