コーヒーを作ることを「コーヒーをいれる」って言いますよね?
えっ?コーヒーを作るって言っても、ブラジルとかの南米の農園でコーヒーを栽培することじゃないですよ!
……わかってるって、そんなこと!
ハイ、失礼しましたm(_ _)m
ここで言うのはもちろん、コーヒー豆やインスタントコーヒーから、コーヒーという飲み物を作るという意味です。
「コーヒーを作ってくれないか?」と人に頼むより、「コーヒーをいれてくれないか?」と言う方がより洗練された表現であるといえます。
では、この「いれる」にはどんな漢字を使うのがよいのでしょうか? 日本語にはひらがながあるので、漢字があやふやでもひらがなでごまかすことができます(笑 そうは言っても、書き言葉なら漢字で書きたいものです。
記事では「コーヒーをいれる」の漢字について調べてみましたので、どうぞお付き合いください。
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コーヒーを「いれる」に使えそうな漢字
「いれる」に使えそうな漢字は、この記事のタイトルにも書きましたが、
- 入れる
- 淹れる
- 煎れる
があると思います。そしていずれも「お茶をいれる」とかに使いそうな文字です。
では、順番に見ていきましょう。
コーヒーを入れる
実はこれが一番無難で、オールマイティに使える漢字です。小学校1年で習う漢字で極めて簡単です。
空っぽのカップにコーヒーを「入れる」のですから、何も間違っていないですね。ちょっと安直な感じもしますが…(^_^;
いまはこの辺にしておいて、次へ進みましょう。
コーヒーを淹れる
「コーヒーをいれる」の意味を汲むと一番しっくりくると思えるのが「淹れる」という漢字です。最初に挙げた3つの漢字の中で唯一さんずいの文字です。さんずいは水を意味しますからね。
「淹」という字は音読みで「エン」、訓読みでは「ひたす」と読みます。お茶の世界では、火から下ろしたお湯で急須に入れた茶葉を浸してお茶を作る、という意味があります。
コーヒーは、コーヒー豆をお湯に浸して作りますから、漢字の持つ意味通りの作り方をコーヒーでやっていることになります。だから一番しっくりとした感じになります。管理人も「コーヒーを淹れる」が正しいと思い込んでいました。
ただし、この「淹」という漢字には一つ制約があるのでした。というのは、この漢字は常用漢字以外の文字なのです。常用漢字とは文字通り「常に用いる漢字」で、新聞や公文書では常用漢字以外の文字は原則使わないとされます。
ですから、常用漢字の範囲でという制限ではこの「淹」は使えず、代わりに「入れる」を使うことになります。
コーヒーを煎れる
「煎」という漢字は訓読みより、音読みの「セン」のほうがピンとくるのではないでしょうか? 「煎茶」とか「煎じ薬」という言葉がありますよね。
煎じ薬とは薬草(生薬)をお湯で煮て、薬草の成分を煮出して飲む薬のことです。お茶の世界では、お茶の葉を沸騰したお湯にいれてお茶を煮出す、という意味です。
(関連記事) 薬の場合は? ⇒ 漢方薬を煎じる方法!土瓶と自動煎じ器の使い方を説明します
ここでコーヒーに戻ってみると、沸騰したお湯にコーヒー豆をいれて煮出すことは普通しませんよね。そうすると、「煎れる」はコーヒーでは適切でないと言えます。(※しかし煮出しコーヒーというのがありますから、この場合は「煎れる」でもいいかも!?)
「コーヒーを入れる」再び
3つの漢字を見てみると、コーヒーの作り方を踏まえたのは「淹れる」であるように思えます。しかし、常用漢字外なのでそこがマイナスポイントです。
ここで再び「入れる」に戻りましょう。
「入れる」という漢字は何かを加えるという意味です。「調味料として塩を入れる」という文は、「調味料として塩を加える」と言い換えても意味が変わりません。
一方、「淹れる」も「煎れる」も、お茶の作り方には触れていますが、できあがったお茶を注ぐところまでは言及していません。「入れる」ならできあがったコーヒーをカップに注ぐ意味も含みます。そして現代では「入れる」を「淹れる」と「煎れる」の(意味も含めて)代わりに使ってもよいそうです。
管理人の意見としては、「コーヒーを淹れる」を使いたいです。当用漢字から常用漢字へとつながる日本語の簡素化の流れで、作り方の意味までを持つ「淹れる」を常用漢字外だからという理由で使わないのはもったいない。
【関連記事】
漢字の「珈琲」とは?
コーヒーを漢字で書くと「珈琲」です。和風な喫茶店に行くとメニューに「珈琲」と表記していることがあります。
これはコーヒーという音にあわせた当て字です。漢字の旁(つくり)の読み方は「カ」と「ヒ」ですから、合わせると「カーヒー」となって「コーヒー」と言えないこともありません。
いや、coffee の発音は「カフィ」ですから「カーヒー」の方が近いですね(笑
一方で漢字しかない国、中国では「咖啡」と書くそうです。日本語のかなのように表音文字がありませんから、外来語を中国語にするときは似た発音で当て字を作ります。
まとめ
「コーヒーをいれる」の漢字について調べてみました。
- 「淹れる」がコーヒーの作りにも近く最適と思えるが常用漢字外
- 現代では「入れる」で、「淹れる」と注ぐの両方の意味を持つ
- 「煎れる」はコーヒーの作り方とは合わない (※煮出しコーヒーを除く)
「淹れる」か「入れる」のどちらを使うかは、書く文章の読者が誰なのかを想定して決めた方がよさそうです。多数に向ける文章なら常用漢字内の「入れる」とし、読者が限定的でこだわるなら「淹れる」という使い分けを提案してこの記事を締めます。
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