光速は時速、秒速で何キロ?宇宙の大きさは光年で測ります

科学

 

光の速さのことを光速(こうそく)といいますが、「光に速さがある」ってイメージできますか?

16世紀頃まではヨーロッパの有名な科学者も「光の速さは無限大で、一瞬で伝わる」と考えていたそうですが、17世紀になると「光にも速さがあって、有限の値である」という考えが広く用いられるようになってきました。

 

有限の値……なんて言い方をすると難しそうですが、要は「時速(秒速)何キロ」と言い表せることをいいます。

ただ、その速さの値が想像を絶する大きさで、普通の感覚ではイメージしづらいのです。

記事では光の速さや、それを使った宇宙での大きさを測る単位「光年」について書いていきますよ。


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光の速さは時速、秒速で何キロ?

光にも速さがあると科学者達が考えるようになってから、光の速さを測定するために観察や実験が繰り返されてきました。

現代では非常に精密な実験により、光の速さは秒速29万9792.458キロメートルとなることがわかっています。…が、こんな細かい数字を覚えなくても、およそ秒速30万キロメートルと覚えておけば十分です。

 

秒速というのは1秒で進む距離ですから、時速で知りたいなら1時間に進む距離を計算すれば良いですね。1時間は3600秒なので、30万を3600倍すれば OK です。

30万 × 3600 = 10億8000万 [km]

 

光の速さを時速にすると、時速 10億8000万キロメートルになります。

10億キロって想像できますか? だいたい、地球から木星くらいまでの距離になります。

 

光年は宇宙の大きさを測る単位

10億キロでも地球上の感覚からすると「すごく大きい」ですが、宇宙のスケールからすると「極めて小さい」長さを表しているに過ぎません。

 

宇宙の大きさは光の速さを基準にして測ります。上では光の時速を計算しました。光が1時間かけて進む距離ですよね。

この考え方をもう少し進めて、今度は光が1年掛けて進む距離を考えてみましょう。「秒速」「時速」という言葉にならうと「年速」でしょうか。

 

この「光が1年掛けて進む距離」のことを光年(こうねん)と言います。宇宙ではこの光年を用いて大きさや距離を測ります。では、「1光年」とはどれくらいの大きさでしょうか? 光の時速と同じように計算してみましょう。

まず、1年が何秒かを計算します。

  • 1分は60秒です
  • 1時間は60分です
  • 1日は24時間です
  • 1年は(平年なら)365日です。

……ですから、これらを全部掛けると1年が何秒かわかりますよね。

60[秒]×60[分]×24[時間]×365[日] =3153万6000[秒]

 

光の速さは秒速30万kmですから、1光年は上の結果を掛け算すれば計算できます。

30万[km] × 3153万6000[秒] = 約9兆4600億 [km]

 

1光年はおよそ9兆4600億キロメートルと計算できました。地球と太陽との距離が約1億5000万キロメートルですから、その約63000倍になります。想像を絶する距離ですよね。

 

しかし、ここで驚いていてはいけません。光年とは単位なので、私たちが「1メートル」などと呼んでいるものと同じです。

太陽以外の最も近い恒星でも 4.3光年離れています。北の空にかがやく北極星は430光年、天の川となる銀河系の中心までは 3万光年、アンドロメダ星雲までは254万光年離れていると言われています。

キロメートルで表していったら、とてもじゃないけど扱いきれませんよね。

 

1光年移動するのに宇宙船で何年かかる?

これまで人類が打ち上げた宇宙船で 1光年を移動するには、何年くらいかかるでしょうか?

人間が乗り込んだ宇宙船で最も遠くまで行ったのは月までですが、1970年代からアメリカは木星や土星といった太陽系の惑星を探査するために惑星探査機をいくつか打ち上げていました。

これらの探査機のうち、1977年に打ち上げられたボイジャー1号は、最も遠くにある人工物(宇宙船)であるとされ、2015年1月時点で地球からの距離は 195億km になっています。今も秒速17kmで太陽系を離れています。

 

さて、このボイジャー1号が1光年移動するのに何年かかるでしょうか?

秒速17kmですから、1光年を km で表した 9兆4600億を割れば秒数が出ます。さらにそれを1年の秒数 3153万6000で割ったら年数が出ます。

9兆4600億 ÷ 17 ÷ 3153万6000 = 17645 [年]

 

人間の作った宇宙船では、宇宙のたった1光年でも移動するのに17000年以上かかります。最も近い恒星までの距離 4.3光年を移動するには 75000年以上です。

2017年2月にアメリカ航空宇宙局(NASA)は、地球から40光年離れたところに地球に似た惑星があると発表しました。40光年というと宇宙のスケールからすると「非常に近い」ですが、ボイジャー1号で40光年移動するには 70万年もかかります

人類の歴史が記録されて5000年くらいですから、いかに宇宙のスケールが大きいかわかってもらえたでしょうか?

 

宇宙の姿は過去の姿?

1光年が「光が1年かかって進む距離」なら、もし地球から1光年のところに星があれば、1年かかって星の光が地球に届いているのです。言い換えれば、その星の1年前の姿を見ていることになります。

実際には1光年のところに星はありませんから、最も近い星であれば 4.3年前の姿を見ています。まぁ、4年前なら想像つきますよね?

 

ところで、北極星は430光年離れていると言いました。つまりいま見ている北極星は430年前の姿を見ています。430年前といえば江戸幕府はまだなくて、戦国時代でした。その頃に輝いた北極星の光が430年経って地球に届いているのです。

アンドロメダ星雲にいたっては254万光年離れているので、254万年前の姿をいま地球で見ていることになります。254万年前というと、人類の祖先にあたる動物が出現した頃ですね。

星との距離と比べると、地球と太陽との距離はずっと近いですが、光の速さで8分19秒かかります。いま見ている太陽は8分19秒前の太陽です。もし、太陽がなくなったら、8分19秒後に地球は真っ暗になります。

 

 

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まとめ

光の速さを時速で計算してから、宇宙の大きさを表す単位、1光年は何キロメートルかを計算してみました。

計算した結果の 9兆4600億キロメートルとか、宇宙船で 17000年かかると言われても正直ピンと来ないですね。

ピンと来なくてもそれは自然な感覚だと思います。地球や太陽系で考えていると大きすぎて比較する対象が見つからないのです。

しかし、考えてみてください。光の速さで何百年、もしくは何百万年も掛けて届いてきた星や星雲の姿を肉眼や望遠鏡でみることができます。これってすごいことだと思いませんか。夜空を眺める機会があれば、「あの光は長い年月を掛けて届いてきたんだ」と、宇宙の大きさに思いをめぐらすのも面白いかもしれません。


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