太陽系の惑星の特徴!さまざまな観点で比較して解説します

科学

太陽系には地球を含めて8つの惑星があります。(冥王星は2006年に準惑星へと分類され、惑星ではなくなりました)

これらの惑星は等間隔で太陽の周りを回っていると思うかもしれませんが、実際は遠くの惑星になるほど、太陽から遠いところを回っています。

 

では、地球と太陽との距離を基準にすると、どのあたりの位置で太陽の周りの回っているのでしょうか?

記事ではそのほかにも太陽系の惑星を大きさ、質量、密度、明るさ、温度、環のあるなしといった様々な観点で比較してみたいと思います。

 

今の科学で生命が存在しているとわかっている惑星は地球だけです。将来、原始的な生物が他の惑星で発見されないとは言えませんが、植物や動物が栄えているのは言うまでもなく地球です。

筆者は惑星の比較を通じて、たった一つしかない地球の大切さを感じてほしいと思って記事を書きました。どうぞお付き合いください。


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太陽系の惑星の位置は?

太陽系の範囲内で長さを比べる場合、地球と太陽の間の距離を基準にすることが多いです。これを1天文単位(AU = Astronomical Unit)といいます。1天文単位は約1億5000万キロメートルです。

天文単位で測った各惑星と太陽との距離は次の表の通りになります。(数値は理科年表より)

惑星 太陽との距離[AU]
水星 0.3871
金星 0.7233
地球 1.0000
火星 1.5237
木星 5.2026
土星 9.5549
天王星 19.2184
海王星 30.1104

 

広場のような場所を想定し、ある点を太陽としてみます。その点から 1m のところを地球が回っているとしましょう。火星は1.5mのところ、木星は5.2mのところになり、一番遠い海王星は30mのところを回っていることになります。

1mだと「すぐ近く」と感じられますが、30mだとずいぶん遠くに感じられます。

 

外側に行くに従って、となりの惑星との距離が広がっていきます。天王星と海王星の間は約10天文単位離れており、その間に水星から土星まで入ります。

地球と太陽を基準にすると、外惑星と呼ばれる木星より先の惑星がいかに遠くにあるかがおわかりでしょうか?

惑星という分類ではなくなってしまいましたが、冥王星は30~50天文単位離れています(2018年は約34天文単位)。2015年に NASAの探査機ニューホライズンズが冥王星に到達しました。実に、地球と太陽との間を約20往復する距離を飛行していったことになります。

 

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ティティウス・ボーデの法則

ここで興味深い関係を紹介しましょう。太陽からの惑星の位置は簡単な数式で書けるという法則です。これはティティウス・ボーデという学者が経験則から発見したものです。

次の式の n として -∞、0、1、2、… を順に入れて計算すると、それが太陽との距離を天文単位で表した数と近くなっています。

(天文単位) = 0.4 + 0.3×2n

 

n ボーデの法則の値 太陽との距離 惑星
-∞ 0.4 0.3871 水星
0 0.7 0.7233 金星
1 1.0 1.0000 地球
2 1.6 1.5237 火星
3 2.8 2.767 ケレス
4 5.2 5.2026 木星
5 10.0 9.5549 土星
6 19.6 19.2184 天王星
7 38.8 39.4451 冥王星
8 77.2 67.781 エリス

 

※ ケレスは小惑星、冥王星とエリスは準惑星です。

この法則が発見されたとき、惑星は土星までしか見つかっていませんでした。なので、この法則によく合う天王星が見つかったため、この法則が太陽系の惑星によく合致していると思われるようになりました。

 

海王星には該当する n の値がないのですが、その代わり冥王星とは近い値になっています。

しかしながら、なぜこれが成り立つのかはわかっていません。あくまで観測による結果で、偶然であると考えられています。

 

太陽系の惑星の大きさは?

次に大きさで比較してみます。大きさと言ってもいろいろな観点があるので、まずは見た目となる赤道上の半径に注目します。半径をキロメートルで記したのが次の表です。

惑星 赤道半径[km]
水星 2439.7
金星 6051.8
地球 6378.1
火星 3396.2
木星 71492
土星 60268
天王星 25559
海王星 24764

 

火星までの太陽に近い惑星で一番大きいのは地球です。金星は地球に近い大きさですが、わずかに小さいです。火星は地球の約半分の大きさです。

もし、近くにある惑星が地球より大きかったとしたら……陸地の面積も広くなって、人が活動できる場所も増えただろうに……と、うらやましく思うかもしれません。逆に、どこへ行くにも遠くなるので、移動には時間が掛かるでしょう。

生命の誕生した地球が、近くの惑星の中で最も大きかったのはラッキーだったでしょう。

 

木星より遠くにある外惑星は地球よりずっと大きいです。外惑星の中でも最小の海王星でも地球の4倍近くあります。

最大の木星にいたっては地球の11倍の半径を持ちます。木星のしましま模様の中には、大赤斑と呼ばれる目玉あります。これは木星の大気の渦なのですが、この大きさは地球をはるかに超えます。

下半分に見えるのが大赤斑です。

(画像はNASAの探査機が撮影したもの)

 

木星の表面はマイナス150度の冷たい惑星ですが、中心部は強い重力のため地球以上に高温高圧です。

もし、木星の質量が今の数十倍になっていたら、中心部で水素の核融合反応が起こって太陽になったのではと言われています。

そうなると地球から2つの太陽が見えていたことになります。どんな空になったのでしょうね。

 

太陽系の惑星の質量と密度は?

惑星を質量で比較してみます。やはり、木星以降の外惑星は大きいだけあって、質量は地球の数十倍以上あります。大きさ最大の木星の質量は地球の318倍です。

惑星 質量(地球=1)
水星 0.05527
金星 0.8150
地球 1.0000
火星 0.1074
木星 317.83
土星 95.16
天王星 14.54
海王星 17.15

 

ここで、もし地球そのものが木星と同じ11倍の大きさになったとすると、体積(と質量)はその3乗倍になりますから、11×11×11= 1331倍です。地球が11倍の大きさになれば質量は1331倍になりますが、木星の質量は地球の318倍です。これは木星が地球に比べると「スカスカ」ということがわかります。

 

そこで、次は密度で比較してみます。

惑星 密度 [g/cm3]
水星 5.43
金星 5.24
地球 5.51
火星 3.93
木星 1.33
土星 0.69
天王星 1.27
海王星 1.64

 

密度というのは、1立方センチメートルあたりの質量です。この表を見ると、密度が最も大きいのは地球です。

そして、密度の小さい惑星は木星以降の外惑星です。土星にいたっては 1 より小さいです。もし、土星が入るような「海」があったら、浮いてしまうでしょう

外惑星の密度が小さいのは、これらがガスの惑星だからです。水素とヘリウムの厚い大気で覆われているため、密度が小さくなっています。中心部には液体や固体のコアがあると考えられていますが、確かめられてはいません。

 

太陽系の惑星の明るさは?

惑星は太陽と違って、それ自身は光を出さないのですが、太陽の光を反射することで、夜空に明るく輝くことがあります。

惑星は太陽との位置関係で明るさが変わるため、最も明るいとき(最大等級)を示します。

惑星 等級
水星 -2.5
金星 -4.9
地球
火星 -2.9
木星 -2.9
土星 -0.5
天王星 +5.3
海王星 +7.8

 

観測条件にもよりますが、最も明るいのは金星です。太陽に近いので明け方や夕暮れに見え、「明けの明星」とか「宵の明星」と言われています。

(NASA のハッブル宇宙望遠鏡が撮影した金星)

 

火星、木星、土星は明るく、星座にない明るい星があればこれらの惑星のことが多いです。入門用のレンズや反射鏡の直径が10cmくらいの天体望遠鏡があれば、木星のしましま模様や土星の環が見えます。

ガリレオが発見した木星の四大衛星も望遠鏡でよく見えます。

 

天王星と海王星は暗いです。条件のよい夜空で視力のいい人なら辛うじて天王星は見えるでしょう。海王星は肉眼では見えません。

 

太陽系の惑星の表面温度は?

これは太陽に近い方が温度が高いです。

惑星 表面温度[℃]
水星 -183 ~ 427
金星 464 ~ 500
地球 15 (平均)
火星 -140 ~ 20
木星 -163 ~ -121
土星 -191 ~ -130
天王星 -214 ~ -205
海王星 -226 ~ -201

 

地球と金星は大気があるので温度に大きな差はありませんが、大気がほとんどない水星と火星は昼と夜とで温度差が大きいです。

(火星)

 

金星の大気はほとんどが二酸化炭素で、地表は90気圧という高圧の世界です。これは地球の90倍です。

二酸化炭素濃度が上がることで地球温暖化の温室効果が問題になっていますが、金星の環境は二酸化炭素による温室効果が非常に強く出ています。

宇宙の中で生命が存在しうる領域のことを「ハビタブルゾーン」といいます。地球は太陽との絶妙な位置関係で生命の存在しうる温度ということがわかります。

 

太陽系の惑星で環を持つものは

「環 (わ)」といって真っ先に思いつくのは土星の環でしょう。環の正体は岩石の集まりなのですが、その厚みはわずか20~30kmしかありません。

環を持つ 木星、土星、天王星、海王星
環を持たない 水星、金星、地球、火星

 

(NASA の撮影した土星)

 

長い間、環を持つ惑星は土星のみとされていましたが、1970年代以降、木星、天王星、海王星にも環があることが発見されました。

なぜ環ができたのかよくわかっていませんが、一つの説として、近くを回っていた衛星が惑星の重力で破壊され、それが環になったと言われています。

 

まとめ

太陽系の惑星の位置関係と、様々な観点で比較をしてみました。

地球と太陽との距離は約1億5000万キロメートル。これは時速300キロの新幹線だと57年かかります。これだけでも気の遠くなるような距離ですが、遠い惑星に行こうとすると、その何倍、何十倍もの距離があります。

 

惑星を比較してわかることは、人間が住める惑星は地球しかないということです。地球環境は未来の世代の借り物ということを認識して、環境を汚すようなことを避けていくことが必要ですよね。


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